ストーリー

株式会社ようび
大島正幸 設計

大島さんが西粟倉に移住した経緯を教えてください。

僕は大学で建築を勉強した後に、実際に木を家具にするっていうところで丁稚奉公に入ったんです。そこでデザインが形になっていくということを技術的に学んだあとに高山のオークヴィレッジというところで勤めました。そこではナラとかブナっていう、すごくトラディショナルだけど家具業界では王道をやっていたんですが、そんな中2009年に西粟倉村に視察に来る機会がありました。
西粟倉村は95%が森林で人口が1500人、村内に産業がほぼない。あったとしてもすごく高齢化して縮小化していてなんとか森林資源で地域自治を守っていこうということで、百年の森林構想というのが作られた。その構想は、森林資源の価値と産業を再興させて地域内の活性化、ゆくゆくは人口の少子化対策にまでつながるっていう構想だったんですけど、僕は木でモノづくりをして世界をよりよくするという、目の前にある課題に着手するチャンスだと思いました。
西粟倉と森林の関係っていうのは日本全国の縮図みたいなものだから、もしそれができて広がれば、自分がデザインしたりモノをつくるっていうことがこの国に広がる可能性を持っているなって思ったんですね。それで自分たちのモノづくりをしながらこの国の未来にタッチしたいなあと思って、この村に移住して「ようび」っていう会社をつくりました。

移住されて11年経ち、その思いにどんな変化があったのでしょうか?

最初から「やがて風景になるものづくり」っていう理念はあったけど、具体的ではなかった。抽象的なものを叶えるためには具体的な能力がいるから、家具職人でフルスイングするわけです。すると家具デザイナーとしての能力は増えていって、家具デザイナーでフルスイングしていく。今度はそれを活かすために仲間がちゃんと成長しなくちゃいけないので、チームビルディングが身につく。で、チームビルディングでフルスイングするとコンサルに活かせる。それを客観的に見ると会社の経営を良化させて経営者としての礎ができる。だから、一流のクリエイターで、一流の教育者で、一流の経営者で、というのを同時に叶えようっていうのが今の僕の目標です。
一流の家具職人から一流のデザイナーになって、というようなキャリアステップは社会では切ってるのが普通だと思うんだけど、僕ダヴィンチ好きで、ダヴィンチって同時に色々なことやってた。それがいいな、自分に向いてるなって思いました。だからそういう抽象的な理念に向けて具体的な積み重ねをして理念に向かっていると感じてます。

今大島さんが達成したい未来とはどんなものですか?

会社の理念が「やがて風景になるものづくり」ですが、それには終わりがない。モノづくりを生涯の仕事にしたいって14歳の時に思って、そこから変わらずに26年目。僕たちの仕事は、100年後にタッチする仕事だなと思って。生きてる間しか人を愛せないのかなと思うけど、僕が死んだあと、娘の子供の世代の風景や建物の在り方、山に生えている木は何がいいのか、どう活かすのかっていうことにタッチが出来ると思うんだよね。例えば西粟倉村の木は、3世代前のおじいちゃんが植えて今僕が使っている。おじいちゃんは自分自身に利益をもたらしていないけど、自己犠牲的に木を植えたかっていうと僕は違う気がしてて、そのときのおじいちゃんは楽しんでもいたと思う。僕も今かなえたいデザインを叶える、形にする、創造する、っていう楽しみを持っている。だから「やがて風景になるモノづくり」っていうのは多分、人類の楽しみであり進化に関わると思うから、それが僕の目標です。

西粟倉について、これまでの10年間を振り返ってどう見てますか?

今まで放置されていたものが、ちゃんと家具になったり床になったり保育園で遊具になったり活用されているよね。余剰でもちゃんと価値になるっていうのがこの10年で一番できたこと。もう一つが、西粟倉に興味のある人がめちゃくちゃ増えた。東京に住んでても西粟倉の一員であるって思っている人もいるし、実際住んでる人もいる。だから関係性は良くなりましたよね。

ようびとして協同組合にどんな期待をしてますか?

ようびとしては、西粟倉の木って可能性あるよね、かっこいいよねってところを更に広めていけたらと思っています。西粟倉の木に関わるみんなが、ここが常に世界的に見てトップリーダーであるという自負を持って、お互いに競争しあっていい商品が生まれて、それを使う人たちの「いいね」っていう反応から、西粟倉に還元される未来が叶えられるといいなと思います。
うちの会社は山に入って伐倒もできないし、製材もできない。でも、素晴らしい世界基準の家具、建築はつくることができる。西粟倉の企業が合わさったら木を中心として世界レベルで戦えるようになった、っていう価値が協同組合でできたらいいなと思う。僕らが木は誇りだって言って、子どもも言うようになってほしい。そんな西粟倉村の価値ができたら嬉しいです。

これから木を使いたいと思っている人向けてメッセージをお願いします。

僕たちは建築や家具で、人の意識や働き方を変えることで、人の気持ちや性格、それが集まった会社の売り上げを変えることが出来ると思っています。それを、西粟倉の木を使って僕たちは叶えられる。僕らは家具、建築デザインのスペシャリストであるっていう自負は持ってる。木に関わって粘り強くやってきた人たちもいるから、もっといい環境やデザインが欲しいと思ったら、具体的な内容が決まる前にとりあえず「これが困った」って相談してほしいです。一緒に未来への変化を考えたいです。